オトコの世界観を歌う。ア・カペラで。

巣鴨中学校・高等学校合唱班(顧問・指揮:境野先生)

 中高一貫の男子校。7人という小所帯ですが、それだけに兄弟のように仲がよさそう。一週間後に控えた舞台へ向けて、無伴奏の2曲を仕上げていきました。校内合唱コンクールで、審査時間中に歌うそう。「ピアノなんかいらない。それに二部合唱じゃないんだぞ。」全校生徒の前で、「男声合唱とは、こういうものだ!」と聴かせてやろうじゃないか、と顧問の境野先生がハッパをかけます。

『斎太郎節』(宮城県民謡)では、海に生きる男たちの歌をパワフルに。そして気分を切り替えて『酒頌』。W.B.イェイツの “A Drinking Song”(林望訳)をもとに、2008年、早稲田大学グリークラブを巣立つ男たちへ上田真樹さんが捧げた小曲です。

「うまい酒。本当に美味しいんだ。まだわかんないだろうけどね。」ご自身も大学時代から男声合唱を続けている先生は、生徒たちもずっと合唱を続けてほしい、と願っています。ジュースの一気飲みから、仲間としみじみ酌み交わす一杯の盃へ。そして恋。もう、あと何年かすればこの歌の世界観がわかる時がくる。人生と音楽の先輩、境野先生は、「お前たちなあ。」などと、まるで合唱団の仲間へ語りかけるように話しかけています。