「東京都合唱祭」を動かすひとびと
著作権問題を考えるうえで、「音楽を生活の糧とするひとびと」のことを考えてみよう、というお話をしました。そこで始める新連載「オンガクノシゴト図鑑」。まずは東京都合唱祭をモデルとして、「コンサートホールの仕事」をみていきたいと思います。
【レセプショニスト(会場案内スタッフ)】
「モギリ」と言われる切符切り、当日券の販売や招待客の対応、ドアの開閉、客席への案内、「うるさいお客様」をオトナの態度でお相手する仕事、などなど。「遅れ客」(開演後に来たお客様)を曲間で席に案内するため、「このステージはあと何分ぐらいで終わるか?」ということを把握しておく必要もあります。そして非常時にはお客様の安全確保も。イベント全体の流れを把握し、かつ臨機応変に対応する能力、そして「絶やさぬ笑顔」が必要です。
【ステージマネージャーと舞台スタッフ】
小澤征爾もマルタ・アルゲリッチも、ステージマネージャー(舞台監督)の指示以外では舞台では動きません。それぐらい偉い(はずの)親方を中心に、スタッフは舞台進行を司ります。出演者の規模やリクエストに合わせた山台組み、ピアノなどの楽器配置を考え、照明や開演ベルの動作を指示。仕事に際してはギックリ腰に注意が必要です。また合唱祭やコンクールのように分刻みで進行する場合はある種の非情さや胆力も必要です。
【誘導・接待スタッフ】
合唱連盟のイベントでは、集合、更衣、リハーサル、舞台出演、写真撮影、更衣、解散と、東海道新幹線並みの正確な進行表のもと、多くの人が動きます。「誘導スタッフ」は、(集団行動が苦手な)指揮者やピアニストも含め、出演者全員を間違いなく舞台へとお連れする大切な羊飼いの仕事。
また長時間にわたり審査や講評を勤めて下さる講師の先生方をおもてなしする「接待スタッフ」も、気持ちよいイベント運営には欠かせません。お茶菓子や弁当のチョイスにも、優れたスタッフは最高の気配りをします。
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さてこれらの仕事、東京都合唱祭では理事団体を中心とした合唱団の人々がボランティアでスタッフを務めています。このほか、合唱祭を動かす人々として、調律師さん、録音、写真、そして楽譜や舞台衣装の物販業者の方々が参加していますが、これらの方々の仕事ぶりについてはまたの機会に。