私事ですが…
合唱指揮者 鈴木与志一
個人会員の鈴木です。25年以上前になりますが,私はヨーロッパにいたときにあることを感じて,音楽の制作に関わるようになりました。おかげで,歌い手としては会うこともできないような指揮者や演奏家,作曲家と一緒に仕事をする機会に巡り合いました。そうした経験をするうちに,自分の演奏も続けていきたいと思うようになりました。
ご存じの方もあると思いますが,数年前に腎不全のために人口透析を受けるようになり,2012年の11月に家内から提供してもらって腎移植の手術を受けました。私は楽天的な人間なのか,30日にわたる入院中も原稿の仕事などをしていましたが,退院してからもしばらくはあまり動けませんでした。やはり歌いたいという気持ちがあり,歌うことで心配してくださったみなさんに,元気になったことを伝えたいと思いました。指導している合唱団の演奏会で数曲歌ったり,近所のお寺のお堂で,町内のみなさんに聴いていただいたりしながら,徐々に歌えるようになっています。ただ,体調が悪かったときと比べると,味覚が格段に良く(普通はそうなるそうです),日本酒やワインが美味しくて困ります。
コーラスについて触れます。合唱祭などで「歌詞の発音がわからない」と講評をいただいたことがありますか?確かに歌詞の明瞭な発音は重要なことですが,私は楽曲の音楽的要素との両立が大切だと思います。コーラスの指導のときには,まず音楽的な要素がしっかりとできてから,歌詞の発音が明瞭になるように練習しています。外国語の歌詞についても,単語としての発音だけではなく,詩文の韻律や語調などに基づいた音楽的な流れを感じることが必要でしょう。外国語の楽曲は,クラシックだけでなく,ポピュラー音楽などでも,ほとんどが韻文に作曲されています。詩がもっているリズムから,旋律が生み出された楽曲がたくさんあります。みなさんは,どのように練習されていますか?