夢
合唱指揮者 名島 啓太
皆様はいかがでしょうか?私は時々同じ夢を見ることがあります。体調を崩したときなどは、通勤ラッシュ時の下りエスカレーターを、知らない会社員の方などから構成された集団でなぜか上り続け、ずーっと同じところに留まりつつも、ひたすら上を目指して上り続けるという夢をよく見ます。もちろんうなされて起きます。
またレギュラーの合唱団の指導にいつものように出かけていくと、既に練習が始まっていて、窓からのぞいてみると何と世界の巨匠ズービン・メータ先生が指導をなさっている。しかも流暢な日本語で。中に入ると「ようこそ!見学の方はこちらへ。」とメンバーに案内されたされたところで、うなされて目が覚めます。メータ先生を尊敬する余りなのか、この夢も今のところ2度ほど見たことがあります。
ある演奏会の日、楽屋で衣装を身に付け、颯爽と舞台へ出ようと思って扉を開けると、地平線へつづく長い一本道があり、5メートルおき位にスタッフの方が「こちらです。」と案内してくださるのだが、道は果てしなく続き、開演ベルが聞こえているのに「こちらです。」と一本道の先を行くよう促される。しまいには「お急ぎください。これをお使いください。」とスピードの出そうな自転車を渡される。一生懸命走らせるのだが、一向にステージに到達せず、ついには転倒し、うなされて起きる、これも何度か見たことがあります。
これらの夢は今思い出しても本当に苦しく、くたびれるのですが、何か意味があるのではないかと考えると、これはひょっとすると、怠け者の私に対し、「音楽の研究に終わりはない」ということが天から暗示されているのではないか、と思うようになりました。そう思って納得をしております。
同じ夢でも、世界中の歌と出会い、世界中の人と歌い合い、聴き合い、尊重し合う至福の世界の実現という夢は、合唱音楽を愛するものとして、皆様と共に見続けていたいと思っています。