僕たちが追い求めるもの

男声合唱団 東京リーダーターフェル1925

“This is my quest…”『見果てぬ夢』の一節を歌っていたときでした。「私が求めるもの。みなさんにとっては合唱のことじゃないですか。なんかわからないけど、俺、合唱が好きなんだよ。そういう歌じゃないですか。なんでそう思って歌わないんですか!」客演時代から含め20年来の付き合いとなる常任指揮者・樋本英一さんがついつい熱くなる。合唱のハートにも火が灯ってきました。翌日から12回目の韓国演奏旅行に出発、という晩の稽古でした。

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同志社大学グリークラブのOBをはじめ、ドイツ市民の男声合唱の伝統(リーダーターフェル運動)に憧れた人々が1925年(大正14)に創立。会則の第2条で国際文化交流を重要な使命と位置付け、ドイツをはじめ各国と交流。1984年以来、韓国男声合唱団と精力的な交流活動を続けていますが、84年当時はまだ韓国国内で日本語の演奏が禁じられていた時代。戦後初めて日本の歌を歌い、政治の壁を歌で破ったのが彼らでした。

原則として「社会人であること」を入団資格としてきたそう。ダンディでありながらあえてそれを名乗らず、大正末期の先達の夢の原点「リーダーターフェル」の名を守り続ける大人たちの声で、渋いブルースも聴かせていただきました。12月の演奏会が楽しみです。

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(2016年11月 207号)