コーロ・マグノリア

「目に見えないつながり」を大切に

中高一貫の女子校でPTAの聖歌隊として一緒に歌った仲間たちが、子どもの卒業後も一緒に歌いたい、と集まったのがきっかけ。指揮者の福嶋浩美さんが発する鋭いユーモアに、練習場は笑いが絶えません。保護者会というより女子校そのままです。

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福嶋さんは合唱の名門として知られる熊本県立第一高校出身。高校で合唱をやり尽くし、燃え尽きたかのように合唱から遠ざかっていた音楽大学時代を経て、指揮者の岸信介さんとの出会いが彼女を再び合唱の世界へと引き戻したのだそうです。

1ヶ月後に迫った初舞台へ向けて、今日はジョルジ・オルバーンのミサ曲をみっちりと練習。「私たちに平和を」とうたう終曲《アニュス・デイ》には、ピアノの間奏が合唱と交錯し、静謐な祈りを紡ぐ美しい瞬間がありました。では間奏の間、合唱はどう無言でピアノと関わりを持ち、寄り添えばいいか?福嶋さんはこう言います。「見えないものを大切に思って、歌ってみませんか。」たまたま我が子を同じ学校に通わせた、という「見えない縁」でここに集まった仲間だからこそ分かり合えるひと言かも知れません。

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合唱団の名「マグノリア」はモクレンの木のこと。在校生も卒業生も保護者も共有する母校のシンボルツリーの名の下に、いつの日か、親子が肩を並べて一緒に歌うような「見えない縁」の広がりが枝を広げていくような気もします。

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「福嶋さんって怒ることはないんですか?」とメンバーに訊ねると、「彼女は笑いながら怒るんですよ。」

福嶋さんが指揮者を務める5つの合唱団が一堂に会するジョイントコンサート「福の会」が、5月◎◎に第1回演奏会を迎える。定期練習は平日昼間だが、仕事を持つメンバーも集まりやすいよう休日の練習日も設け、演奏会へ向けて追い込み。

「子どもをお風呂に入れたときの、あの感じ。。。」子育て経験のなかにある感覚を拾い出し、共有しながら、声づくり、音楽づくりを進めていく。

(2016年5月 205号)