わたしたちの「公園」にベンチをひとつ

 

丸紅本社合唱団

/清水昭さん(指揮)筧千佳子さん(ピアノ)

1964年創部。黄金期といえる60年代後半から70年代にかけては、産業人音楽祭での最優秀賞受賞をはじめ、東京都合唱コンクールなどの大会参加、旧安田財閥の資本系列を起源とする「芙蓉グループ」の合同演奏会、あるいは三菱、三井、伊藤忠とともに4商社合同演奏会を開くなど活発に活動を続けましたが、その後部員数が激減し、冬の時期を迎えたそう。

復活のきっかけとなったのは99年の創業50周年記念演奏会。懐かしいOB、OGが集まり、再び部員が増え、現在はかつての活力が戻っていますが、団長の石井一成さんからは、10数年前にあったという、合唱団の存亡に関わる出来事を伺いました。会社の業績が低迷し、部活動を廃止する動きがあったとき、結果的に役員会で存続が決まったのはなんと一票差。そのとき、ある役員がこう語ったそうです。「公園にベンチを残しませんか。人が集まる場所を残す、その余裕を持ちませんか。」企業人としての矜持が伝わるエピソードではないでしょうか。

来年5月には三菱商事コーラス同好会と合同演奏会、そして再来年には丸紅創業70周年と芙蓉グループ創立50周年。世代や職場を超え、さまざまな人々が集まって祝福の歌声を響かせる予定です。

指揮の清水昭さんは32年目、ピアノの筧千佳子さんも22年。どちらも長い付き合い。

現在、本社ビルが建て替え中だそうで、当分の間社外の公共施設を転々とする苦労の日々が続くそう。

(2017年5月 209号)