21世紀の「童謡」を歌う。

エルフェ女声合唱団(指揮:伊藤幹翁)

 

文芸雑誌「赤い鳥」が創刊し、近代日本における「童話」「童謡」の道が拓かれて今年で100年。子供への愛情を、優れた芸術作品という形にして手渡そう、という、当時の最先端をいくクリエイターたちが志した運動の初心は、同時に日本の合唱音楽の源泉ともなりました。その伝統を受け継ぎ、「現代の童謡」の創作活動を続ける作曲家・伊藤幹翁さんの人柄に惹かれ、ともに歌いたい、と、この合唱団を創って44年。メンバーのなかには童話作家さんもいて、その作品をもとにした創作ミュージカルも生まれました。

言葉へのこだわり。シンプルだからこその、楽譜には書かれていない行間へのこだわり。そしてなにより、例えば今なお戦禍に苦しむ国の子供たちへも目を向けるような、「命」への優しいまなざし。童謡のなかには「悲しみ」すらあって、だからこそ、挫折したときに身にしみて共感できる歌がある。伊藤さんの新作と出会うたびに、その世界観のなかに新しい発見を続けていけるのだそう。

「よくしゃべり、よく食べて、よく歌う。」平均年齢75歳、最高齢は90歳という彼女たちの、それが心と体の健康法。おかあさんコーラス大会やシルバーコーラス・フェスティバルなどへの参加のみでなく、童謡を歌い継いでいこう、という活動の場で、精力的な演奏活動を続けています。