「個」が立ち上がる、歌好き女子(と、ひとりの男子)の群像
お茶の水女子大学付属高等学校合唱部
前身となる官立女学校は1872年(明治5)創立。日本初の高等女学校、そして日本最古の「校歌」を持つという名門進学校。受験勉強優先のため、とかくユルい部活動になりがちだったそうですが、原先生が顧問になって以来けっこうハードで本格的な活動に。定期演奏会や文化祭のほか、外部での演奏も盛んになってきました。
全体練習とともに2、3人単位の声楽レッスンもできるのが少人数の強み。合唱経験のない初心者が大半だそうですが、声を抑えて揃えるタイプの合唱ではなく、敢えてひとりひとりの「個」が見え、粒の立ったアンサンブルを原先生はめざしたいそう。
下校時刻の廊下を、大きな声で歌いながら帰っていく姿が印象的でしたが、原先生もその「ゆかいな仲間たち」の群像にすっかり溶け込み、愛されている様子です。中高と吹奏楽部、大学では合唱と吹奏楽を兼部し、教育実習で歌に目覚める。そして東京芸大の声楽科で学びなおしたという異色の経歴(と、隠れた異才)をもつ原先生と、時としてその保護者役のようでもある合唱部員たちの歌声は、たぶん年明けの「春こん。」や東京都合唱コンクールで聴けるはず。読者のみなさん、ぜひお越しください!
(2016年11月 207号)