《都連主催事業の演奏音源・映像データのこと》
不定期連載「著作権便利帖」をひさびさに。今回は、いま都連ホームページに(地味に)掲載されている「CD、音源の取り扱い」についてのお願いをこの誌上でもQ&Aの形でご紹介させていただきたいと思います。
Q1 都連の主催事業では録音およびCDの作成を録音業者さんに依頼していますね?
はい。都連が1団体につきCD1枚分の料金を業者さんに支払い、そのCDを出演団体の皆様に記念として差し上げていますが、2枚以上CDを希望する場合や、他団体の音源を希望する場合は、業者さんからの購入をお願いしています。言い換えれば、「業者さんに無断でコピーはしないでね」ということです。業者さんは、録音や録画したものを販売するために、著作物の使用料を負担しているわけですから。
Q2 CDの無断コピーはやはり著作権法に抵触するということですね?
CDの音源データは複製やPCへの取り込み、アップロードが容易にできてしまうのですが、まずこれは著作権法(この場合、録音業者の原盤権、すなわち著作隣接権の保護)に抵触してしまいます。さらに、安易にそうした方法で音源を共有することは、録音業者さんの営業を圧迫する恐れもあります。以前もこのコーナーでお伝えしたように、著作権法は、権利者の保護を通じた文化芸術の持続的な発展を目的としています。都連として最低限の利益保証という意味合いで1枚ぶんの支払いを業者にしていますが、「売り上げが1団体1枚しかない!」というのは、やはり録音のプロフェッショナルの手による仕事の代償としては厳しい状況と言わざるを得ないですよね。
楽譜のコピーと同様、安易なデータの共有が進むと、音楽関連産業の衰退を招きかねない、と考えられないでしょうか。もちろん参加した合唱団員全員ぶんの購入を義務付けるという趣旨ではなく、あくまで音源を聴きたいという団員さんはその人数分を、という趣旨で捉えていただければと思います。
Q3 その一方、CDの音源のweb公開は認められているんですね?
はい。連盟と録音業者さんとの協議により、音源については公開(アップロード)を許可しています。なお、公開の際には以下の情報を明記お願いします。
・大会名(回数含む) ・出演日 ・会場
・主催者名 #東京都合唱連盟(ハッシュタグあり) ・録音業者名
ちなみに、許諾不要でweb公開可能なのは、基本的にはYouTube等、JASRACとの間で利用許諾契約をしているサービスに限ります。外国作品をはじめ、JASRAC以外の管理団体が管理する作品の場合に生じる必要な権利処理は各団で行ってください。
なお、JASRACと利用許諾契約を締結しているサービスの一覧は下記サイトよりご確認いただけます。X(Twitter)や各団独自のwebサイト等、JASRACと契約していないSNSやサイトで公開をする場合は、個別にJASRACへお問い合わせください。
https://www.jasrac.or.jp/news/20/ugc.html
Q4 しかしこのweb公開によって、1枚のCDだけで合唱団員全員が演奏を聴けてしまいますが?
たしかにその通りなのですが、web公開は、自分たちの合唱団の演奏や、都連の主催事業について情報発信し、広く知ってもらいたい、という趣旨であるとお考えいただき、合唱団内でのシェアを目的にはしないでいただきたい、ということです。
Q5 ちなみにコンクールに関しては、いまは動画収録もしているんですね?
コンクール都大会でご購入いただける動画については、出演後1年間はwebでの一般公開を不可とさせていただいております。動画のほうがより収録、編集等の手間がかかり、業者として利益率の低い、厳しい状況なので、できれば購入いただきたいところ。1年経過後はwebで公開していただいても構いませんが、著作権に関する手続きは音源と同様の取り扱いです。
なお、東京都合唱連盟主催事業以外では、録音業者が同じであっても扱いが異なりますので、個別に主催者や録音業者にお問い合わせください。
Q6 音源、映像ともに、公開できるのは自分の合唱団についてのみ、なのですね?
他団体の演奏については、その演奏者(合唱団や指揮者、伴奏者)が著作隣接権を持っています。他団体のCDを購入・入手したうえ、公開する場合は当該団体の許諾を得てから行ってください。音源・動画公開によって生じたトラブル・不利益等の責は連盟、録音業者とも負いかねますのでご承知おきください。
Q7 これまでの都連行事での演奏録音を集めて、合唱団プロモーションのCDをつくったりできますか?
はい。可能ではありますが、音源データを再利用する場合はやはり原盤権を持つ録音業者さんの許諾が必要です。webサイトでのプロモーション動画の作成等も含め、その場合はやはり業者さんにご相談ください。