上智大学混声合唱団アマデウスコール

梅雨の晴れ間、聖イグナチオ教会の前の紫陽花が夕暮れの風と共に上智大学へと誘ってくれました。大学生たちが行きかうキャンパスのメインストリートを抜けて本日お邪魔したのは、上智大学混声合唱団アマデウスコール。創団は1980年。モーツァルトのミサ曲を歌うために、上智大学グリークラブ(男声)に女声が加わって発足したそうです。現在は宗教曲に限らず、様々なジャンルの合唱曲に取り組み、インカレサークルとして他大学の学生や留学生も一緒に40名ほどで活動しています。なんと、知る人ぞ知る、今や日本の合唱界を牽引する作曲家、信長貴富先生がかつて在籍し学生指揮者をなさっていた合唱団でもあります。学指揮時代、「僕たちの伝説」という自作曲を初演なさったと伺いました。

放課後のキャンパスは、実に賑やかで活気を帯び、「The青春」。コロナ禍による様々な制限からようやく解放され新しい日常を生きる大学生の姿が印象的です。あちこちでダンスを練習する人、どこからか軽音楽の音、英語で談笑する学生たち、よく日焼けした学生がにこやかにすれ違うとちらっと聞こえた会話は英語ではない言語、今の何語だろう、、、。ちょっと歩いただけで「the上智」なのです。

教室に入ると、ちょうど練習に熱が入っているところでした。取り組むのは10日後に迫ったジョイントコンサートに向けたプログラム、信長貴富先生作曲の『雲は雲のままに流れ』から「それじゃ」と「ほし」。正学生指揮者の小此木咲希さんを中心に練習が進みます。とにかく終始和気あいあいとしていて、皆さんとても楽しそう。素直で明るい声が響き渡ります。なにより印象的だったのは、練習中に仲間同士が気楽にアイデアを出しあい、様々な意見が飛び交っていることです。「ここはもっと子音を出した方がいいんじゃない?」、「テンポ感をもう一回確認したいです」、「こう振ってくれると嬉しい」などなど。「わかった、じゃあ今の部分、実験してみよう!」と小此木さんは仲間の意見を聞き、実験と称して皆で試して最善を探っていきます。「指揮者としての私自身の経験値が少ないからこそ周りから吸収して力をつけたい。」と話してくれた小此木さん。真ん中に立つ指揮者の指摘に従うだけではなく、歌い手がよく発言して対等に音楽づくりをしていくという柔軟なかたちが、この団の朗らかな雰囲気を象徴していると感じました。「合唱の経験・未経験、学年を問わず団員全員で音楽を作り上げ、全員の良さが引き出される音楽、活動でありたい。」というアマデウスコールの信念に基づいて培われる強さ、がそこにはあるのです。

20時を回っても響き渡る爽やかな若者たちの歌声に見送られてキャンパスを後にしました。気負うことなく素直で清々しい彼らから、歌う喜び、声を重ねる楽しさという、合唱の原点を思い出した気がします。すっかり暗くなったソフィア通り。なんとも心地良い涼やかな風を感じながらの帰り道でした。