イタリア・ワインの王様「バローロ」、その芳醇な味わいのごとく熟成された音楽を、というのが団名の由来。1998年に発足、2003年より松平敬先生が指揮を務める(ヴォイストレーナーは奥様の工藤あかね先生)。この日の練習曲は2021年開催予定の第10回記念演奏会でメインステージとなるモーツァルト『レクイエム』。バイヤー版に基づき、原曲のオーケストラ編成を松平先生が弦楽四重奏とピアノの編成に編曲。さらに滝廉太郎の組歌『四季』全曲の合唱版編曲も進めているとか。
松平先生は『合唱エクササイズ 発声編』(カワイ出版)の著者としても知られる声楽家(バリトン)にして、作曲・編曲、合唱指揮、シュトックハウゼンの演奏・研究、音楽雑誌での批評…等々、八面六臂で活躍中。そして自称「モーツァルトオタク」。団員向け会報に連載(!)されている楽曲解説にもその面目躍如。
松平先生自身が実際に歌って示す(声域はバスからソプラノまで!)フレーズで、音楽の形が具体的に見えてくる。集中した練習の間に挿まれる音楽系小ネタに、知的好奇心や笑いのツボを刺激され、団員たちの表情が弾ける。「先生の練習、楽しいんですよ!」と帰っていく団員さんの笑顔にも納得。
「初心者、シニアも歌える合唱団」と謳っているだけあり、団員向けの様々なサポート(音取り音源や楽曲資料のシェアなど)や団員の交流も充実している様子。10回記念演奏会のレクイエムのワンステージ団員は現在も募集中だそうです!(詳細はバローロ混声の公式ブログで)
古典の名作を新たな形で現代に発信していく試み、さらに深まる熟成度合いが楽しみですね。