■女声合唱団ジューン・エコー

(指揮)末吉嘉子(ピアノ)山崎美保

新宿区立大久保小学校のPTAコーラスが事の始まり。当時の音楽の先生が、保護者のひとりで声楽家でもある末吉嘉子さんに合唱指導を託されたのだそうです。その後同じ学区の大久保中学校へもご縁は広がり、合唱団が誕生して41年。PTAでの出会いから数えれば半世紀近くにわたる歌の仲間たちです。

東京都合唱祭の会場としておなじみ、新宿文化センターのオープンと同時に誕生。当時より新宿文化センターは区民の合唱活動の支援に力を入れ、合唱団を育てる取り組みを熱心にしていたそうです。そうした地元行政の支援や地域のご縁、大久保混声合唱団を率いた辻正行さんやそのファミリー(先ごろ他界された指揮者の鈴木与志一さんもそのうちのお一人)とのご縁など、さまざまな縁の結びつきが活動の源泉のよう。区の生涯学習センターでのフェスティバル、新宿区合唱連盟での活動、JCDA日本合唱指揮者協会主催の「北とぴあ合唱の祭典」や全日本合唱連盟のおかあさんコーラス全国大会への出演。そして団員のご家族のご縁から、ドイツ・ハンブルクへの演奏旅行も。そんな精力的な活動を続けています。

高齢のご家族を抱えるなどさまざまなご苦労、それにかつてのPTA合唱時代と比べて団員の居住地も広域化し、ホームグラウンドに集まるのも一苦労なところにもってきてコロナ禍が訪れ、メンバーは大きく減ってしまいました。でも、めげない。今日も練習場でのびのびと発声練習が始まりました。

この日練習したのは、『夜 泉のほとりに』(詩:立原道造/曲:石原真)それに『祈ってもいいだろうか』(詩:谷川俊太郎/曲:信長貴富)の2曲。末吉さんのご指導には、日本語の言葉と声がつくりだす、歪みなくクリアな「音像」づくりに強いこだわりが感じられました。

『祈ってもいいだろうか』は、島根県合唱連盟の創立60周年の記念に委嘱され、コロナ禍の困難を経て、三世代合同の合唱により初演された作品ですが、長く苦楽をともにし続けるジューン・エコーの「明日へ言葉を届ける」心に沁みる演奏は、シルバーコーラスの本番でも聴かせていただきました。響きの美しさで名高い浜離宮朝日ホールの舞台から客席へと、確かに祈りの声は伝えられました。

・楽譜を手に、言葉と声の関係を精査していく。本番へ向けて、かなり厳しい練習ですが、休憩時間には笑顔も絶えません。

・練習の成果を携えて、シルバーコーラスフェスティバルの舞台へ。浜離宮朝日ホールの美しい響きを味方にしつつ、声を客席へと届けました。