ピアノデュオ「のまひら」

 

ピアニスト 平林知子・野間春美

 

©F.Furuhashi

であいは…

ピアニスト野間春美と平林知子のデュオ「のまひら」の始まりは2013年、CANTUS ANIMAEの演奏会における三善先生の、混声合唱と二台のピアノのための「交聲詩 海」でした。それから幾度となく共演を重ね、初共演からちょうど10年経った昨年、東京六大学混声合唱連盟の合同ステージにて「交聲詩 海」と「であい」で客演(指揮は雨森文也先生)、コロナ禍を乗り越えひたむきに歌う大学生の皆さんとご一緒できたことは感慨一入でした。

ピアノデュオのまひら、誕生

私たちもコロナ禍で少し遮られながらも、昨年夏に初めてピアノデュオ「のまひら」として演奏会を開催する事ができました。大好きな作品ばかりのプログラムは思った以上に重量感もあり、神奈川と大阪という遠隔地に住まうこともあって練習は思いのほか大変でしたが、それを差し引いて余りある音楽的な充実感を得る事ができました。大変だったから一回で終わりかな、と思いきや!第一回が終わった途端に「次はいつ頃がいいですかねぇ」と(笑)。

合唱とピアノではなくピアノ同士での対話は言葉がないので、音色やフレーズ感、和音のバランス、ちょっとした間合いでやりとりをします。丁々発止もするし、逆にどちらの音か分からないくらいに境目を溶かしたりもします。素晴らしいソリストが二人揃ってもデュオとしてそれほど楽しくないという事も起こり得るのは、細かなやりとりをいろいろ試す時間が取れるかどうかが大きく関わるからではないでしょうか。

©Y.Hirabayashi

のまひら、歌うってよ!

CANTUS ANIMAEでは、演奏会だけでなくコンクールでも連弾や二台ピアノの作品を積極的に取り上げて下さいました。2022年からは、コンクールで課題曲と自由曲を交代で弾き、弾かない方の曲では歌い手として共演する経験をさせて頂いています。ピアノ付きの作品を歌う機会はなかなかなかったので、これは貴重な体験です。合唱の中に歌い手として入った時にピアノはどう聞こえているのか、それを体験してからピアノの前に戻ると、今までになかった感覚が開かれたようでした。ピアニストの皆様、機会があればどんどん歌いましょう!

みんな違ってみんないい

その経験で再確認したのは、私たちはお互いにアンサンブルでやりとりする中に喜びを見い出し、幸せを感じる人間だという事。最初はバランスの不具合や音色の違和感、リズムの取り方の違いなどがあったりしても、そこから少しずつ歩み寄っていく中で、自分が考えていた以上のアンサンブルが生まれた時、驚くと同時に、

「音楽をやっていて良かった!」

「生きていて良かった!」

という気持ちさえ覚えます。つまり、違いを認めるところからの出発が面白さの始まりで、ああでもないこうでもないとディスカッションして一番いい着地点を見つけていく、その過程が面白いのです。そして本番では、お客様も交えながら、練習では聞こえなかった化学反応が起こります。

今年の夏に第二回の演奏会を予定していますが、また皆様と幸せな時間をご一緒できますことを願いながら、そしてお互いの活動を尊重しながら練習を重ねてまいります。

X(旧Twitter)アカウント@nomahira_duo