■東京YMCA合唱団 (指揮:武田雅博さん)

響きの美しさを楽しもう!

終戦後間もなくを起源とする東京YMCAの会員による聖歌隊が姿を変え、キリスト教音楽の大家にして合唱界のリーダーの一人、岡本敏明さんを初代指揮者に迎え1960年に合唱団が誕生。現在は1980年以来の第4代常任指揮者武田雅博さんのもと、ラテン語の現代宗教作品に加え信長貴富さんの作品にも継続的に取り組むというレパートリー。宗教にかかわらず「合唱が好きな人ならどなたでも大歓迎」という一般合唱団として活動を続けています。

まず響きが素晴らしい練習場の空間を楽しみながらとても音楽的な発声練習を。そして対照的な2つの現代宗教作品の練習を興味深く拝見しました。『Jubilate Deo』(Manolo Da Rold作曲)は、ジャジーな楽しい曲です。「アメリカ人のように濃いめで・ラテン語をバタ臭く」。あるパートはトランペットの輝きを、またあるパートはホルンのイメージ。スキャットによる合唱をブラスアンサンブルに例えながら、6つのパートが役者として演じます。武田さんの指導のスピード感もまさにこの曲にふさわしくスウィングしています。一方、『Panis Angelicus』(Rihards Dubr作曲)ではがらっと曲想が変わり、味わい深い音色の移ろいをじっくりと聴かせます。「慈愛のフォルテ」という感覚を噛みしめつつ。

発声練習も含めどの局面でも常に和声学の分析を武田さんは交え、和声上どんな役割を持っているかを意識しながら、という指導がとても印象的でした。男声パート、特にバスは目下絶賛大募集中だそうです!「ちょっと秘密にしておきたいなあ…」という、響きと立地条件最高の練習場へ、あなたもぜひ。

 

1年ぶりに練習に参加したというメンバーを迎え、手拍子とともに「歓迎の歌」を歌うというのがなんとも家族的で素敵。アメリカ民謡を初代指揮者岡本敏明さんが作詞・編曲。合唱団に代々伝わるレパートリーだそう。木村裕平さんが普段の練習からピアノを弾く、というとても贅沢な合唱団ですが、今日は木村さんのご都合がつかず、武田さんがピアノを弾きながら。