vie souple

(音楽監督・常任指揮者:石井奈央さん)

 

高校時代、そして進学先の大学でも同じ合唱団で歌った仲間たちが、卒業後の2015年、声を掛け合った。「合唱団作ったら入りますよ。」それは社交辞令ではなく、本当に集まった4、5人が1年間、狭い部屋で、でも楽しく、声を合わせる日々を過ごす。

やはり「目標設定」が必要だ、と、翌年3月には『春こん。』に7人でデビュー。7月に東京都合唱祭、9月に東京都合唱コンクールにデビュー、そして11月には第1回演奏会。何故か奇数月に盛り上がり、そして同窓以外の仲間も徐々に増えてきました。

Vie Souple”とは、フランス語で「しなやかな命」のこと。「歌うカラダ」に興味がある、という指揮者・石井奈央さんのウォーミングアップ術は、自己の、あるいは隣人の体との対話、それに「空間のなかの自分」を意識することから始まりました。アンサンブルの目標として、石井さんはこう語ります。誰かの声に集約するのではなく、「自立する各々が化学反応的に」響きあうこと。そのために耳を使い、いろいろなことに気づくこと。

就職、結婚、子育て。変化が激しく、歌い続けることが必ずしも容易ではない年代ではあるけれど、「しなやかな人生」の今日の1ページとして、厳しくも楽しい稽古場には、心地のいい時間と空間がありました。

(2017年11月 211号)