いくつになっても・青春時代

 

(指揮者:関口直仁さん)

かつて共立女子高校の音楽部(合唱部)を率い、その黄金時代を築いたという指揮者・藤村晃一さんの薫陶を受けた教え子たちが、先生の定年退職を機に再結集したのが1985 年。今も、かつて通った学校とゆかりのある地・千代田区内を拠点として活動を続け、東京都合唱祭と千代田区コーラスフェスティバルには15年連続で出場しています。

中田喜直や高田三郎をはじめとする邦人作品や宗教曲をレパートリーの中心に据え、演奏会は暗譜で。立ち姿にも厳しくストイックだったという、いい意味で保守的な「藤村イズム」をいまもコアに持つ一方、新世代の指揮者として声楽家(バリトン)の関口直仁さんを迎えた今は、イギリスの現代作品やポップス、歌謡曲(「青春時代」や「虹と雪のバラード」が素敵!)のアレンジものにもチャレンジ。伝統と新しい血が、いい塩梅にブレンドしているようです。

80代のメンバーも元気に歌っていらっしゃいます。「この年代でここまで歌える。若い頃にいい指導を受け、それが身についているからこそのことだと思います。」そう語る関口さんご自身、この合唱団の指揮台に立つたびに、「歴代の先生がたに見られている」という緊張感を持つそう。

合唱祭の舞台ではときに「顔がこわい」との講評をいただいたりするそうで、「それぐらい高校時代のストイックさが身についてしまっているんですよ(笑)」といういっぽう、休憩時間はまるで女子校の昼休みのように楽しそうでした。そして練習終了後のお昼ご飯のひとときはクラス会のよう。「昔はこの通りに都電が走っていたのよ。」メンバーの口から語られる、そんな「かつての千代田の街の風景」も興味深いです。

「懐かしの写真」