本から渡された言葉

 

合唱指揮者 真下 洋介

初めまして。合唱指揮をしております真下洋介と申します。よろしくお願いいたします。

私の趣味は読書で、本屋で立ち読みしながら、買って帰る本を探す時間がとても好きなのですが、そんな私にとって、新聞の書評欄を読む時間も、好きなひとときです。私の購読する朝日新聞では、書評欄は毎週土曜日に掲載されますが、その日は新聞を開くのがいつも以上に楽しみです。書評でピンときた本は、自分の世界を広げるために、できるだけ読もうと心がけています。少し前ですが、昨夏の文庫の書評に掲載された『消された信仰「最後のかくれキリシタン」-長崎・生月島の人々』(広野真嗣)を大変興味深く読みました。「かくれキリシタン」という言葉は知っていても、それ以上のことはほとんど知らなかったので、この本を通して、私の世界がまた少し広がりました。

書評欄には、著者の紹介記事なども掲載されるのですが、昨年12月11日の朝日新聞朝刊に掲載された「著者に会いたい」は、元岩波書店の編集者で、『渡された言葉 私の編集手帖から』の著者、井上一夫さんでした。井上さんは、岩波書店に約40年お勤めの間に、永六輔さんのベストセラー『大往生』を始め、様々な新書や学術書の編集を手がけられ、関屋晋先生が書かれた『コーラスは楽しい』の編集も担当されました。『渡された言葉』は、井上さんがこれまでにお会いした数多の著者とのやりとりの中で、とりわけ印象的だった言葉を集めた本で、関屋先生の言葉「それぞれの人の声にはその人にしかない響きがある」も、記事の中で紹介されていました。

早速本を買って読むと、自分の生き方や考え方に大きな影響を与える言葉がいくつもありました。関屋先生の章では、小澤征爾先生とのエピソードのほか、新書の編集過程で井上さんが感じられた関屋先生の印象などが書かれており、関屋先生のお顔を思い浮かべながら読む時間は、大変幸せでした。

音楽関係では、関屋先生の他にも何名か紹介されていますが、フォーク歌手・作曲家の小室等さんの章も、とても心を動かされました。井上さんが編集した小室さんの著書も読みましたが、武満徹さんが小室さんに語られ、著書のタイトルの元にもなった言葉「人生を積極的に肯定する情熱がない限り、歌は生まれないだろうと思う」は、自分がこれからも合唱・音楽を続けるにあたり常に携えたい言葉として、心に深く響きました。

纏まった読書の時間を取るのは難しいので、ちょっとした隙間時間を読書に充てたいのですが、ついついスマホでSNSやメールなどを見てしまいます。自分の世界をもっと広げるためにも、スマホ時間を減らして、本を読む量を増やそうと思います。そして、その感想をTwitterでたくさんつぶやきますね!…あれ?おかしいな(笑)