合唱団訪問:天俊のいる構図
主宰・指揮:香山天俊
練習曲:F. プーランク「Mass in G major(ミサ曲 ト長調)」より「Kyrie」ほか
今年2月の「東京春のコーラスコンテスト2026(春こん。)」クラシック・現代音楽部門で見事銅賞を獲得された、「天俊のいる構図」。今日は、9月の「東京都合唱コンクール」に向けた熱気あふれる練習を拝見した。
実はこの団、混声としての活動は前回の「春こん」が初めてで、今回がまだ2回目という非常に若い一歩を踏み出したばかりの団体だ。結成のきっかけは2022年、ある楽曲の男声バージョンを演奏したいという有志が集まった「ノリ」からだったという。当時は指揮者なしのアンサンブルとして始まった試みだったが、その後、本職のエンジニアの傍らで指揮者としての活動の場を広げていた香山さんが、「そろそろ自分の音楽を形にする団をもう一度」と満を持して本格的に再始動させたのが、現在の混声の形である。
特徴的なその団名が印象的であるが、実は由来となった曲の作曲家の先生から現在はしっかりと「公認」を得ているという、若き団体らしいユーモラスな舞台裏も明かしてくれた。
団員は20代を中心に下は19歳から上は40代までと幅広く、香山さんが信頼する「魅力的な声」の持ち主が集う。少人数ゆえ、練習では一人ひとりの声と徹底的に向き合う。外部から先生らのレッスンを仰ぎつつ、香山さんは「長距離走の準備」や「家系ラーメンの硬さ」などの具体的かつわかりやすい比喩を用いて、誰もが直感的に理解できる言葉で的確なディレクションを重ねていく。納得のいく響きが鳴った瞬間に「今、プーランクが見えました」と嬉しそうに語る姿が印象的だ。
あえて演奏会ではなくコンクールという場に挑む理由について、香山さんは「自分はまだ偉大な先達のようにいつでも絶対的な音楽の基準を示せるわけではない。コンクールという高い要求が求められる厳しい基準に身を置くことで、団員に付き合ってもらいながら、自身の音楽性と指導力を磨き高めていきたい」と、真摯な眼差しで語る。その愚直なまでの挑戦の先には、いつか単独演奏会を開きたいという確かな夢がある。
「多様な合唱団がひしめき、刺激し合えるのが東京の良さ。いつかこの東京の合唱界全体に刺激を与えられるような存在になりたい」。そう熱く語る彼らが、秋の「東京都合唱コンクール・混声合唱の部」の大舞台でどのような「構図」を描き出すのか。東京から発信される若き挑戦者の響きに、今から期待が膨らんでならない。




