現在は全日本合唱連盟策定の「合唱活動における新型コロナウイルス感染症拡大防止のガイドライン」最新版をご参照ください
令和2年6月23日
東京都合唱連盟
はじめに
人類は古来、祈り、祝い、遊び、労働、子守、弔いなど実に様々な場面で歌を歌い、その多くに於いて声を重ね合唱をしてきました。合唱とは人類の歴史、文化の中で欠くことのできないものであり、これからも決して絶やしてはならないものである、と東京都合唱連盟では考えています。そのため本連盟の規約の中でも「合唱音楽の普及、発展並びにその啓蒙を図り、もって社会の文化向上に寄与することを目的とする。」と掲げています。
昨今の新型コロナウイルス感染症の影響により、合唱を愛する人の健康を害してしまった事例が発生し、また合唱活動に向けられる認識も一部で厳しいものになっています。
本連盟ではこうした事態に向き合い、かけがえのない文化である合唱の灯をともし続けるために「新型コロナウイルス感染症影響下での合唱練習再開ガイドライン」を制定しました。
合唱がいわゆる3密(密閉、密集、密接)を避けがたく、同時に活動時間中のほとんどにおいて声を出すという特性から、感染の主たる経路と目される飛沫の飛散が他の活動に比べて非常に多いことは明白です。再開の可否については各団体において慎重に議論・検討し、再開をされる場合は各団の責任において実施してください。またその検討の際に、指導者を含む全参加者と情報や問題意識を共有されることを期待します。
ここに述べるガイドラインは現段階で得られている知見に基づくものであり、今後の科学的根拠の蓄積や流行状況の変化、上記基本対処方針の変化などに応じて随時更新されてゆくべきものです。
また、都内でも地域によって感染状況は大きく異なるため、練習参加者の居住及び移動経路等の感染状況を正しく把握し、対策に当たってください。現在感染が起こっていない地域在住者のみでの活動には過度な対策は不要と考えられますが、一方で市中感染が起きている地域に出入りする人物及びその濃厚接触者が参加者にいる場合には徹底した対策が求められます。
感染症対策の基本的な考え方ですが、大前提としてウイルスの存在しないところでは感染は起こりません。したがって練習以外の日常生活では感染しないことが最重要となり、練習ではウイルスを持ち込ませないための対策が最重要となります。
また、感染症の拡大・蔓延を防ぐため、万が一感染がおこった際の経路および濃厚接触者などの正確な把握、情報提供に備えることが求められます。
1.団員各々が日常の生活において気を付けるべきこと
(1)日常の健康管理
①健康管理表を作成し、毎日記録をする
平熱を把握し、それらより1度以上の変化があった場合は医療機関に相談・受診をする
体調の変化、特に下記の症状が見られた場合は練習を休み、必要に応じて医療機関に相談・受診をする
咳、呼吸困難、全⾝倦怠感、咽頭痛、⿐汁・⿐閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや結膜の充⾎、頭痛、関節・筋⾁痛、下痢、嘔気・嘔吐
②感染症の予防
・最大の感染機会である人同士の接触を減らすため、不要な外出・遠出、特に人混みを避ける
・手洗い・手指の消毒をまめに行う
マスクの着用はウイルス保持者からの感染拡大防止には一定の効果が期待される。本感染症では発症前2日間や無症状からの感染可能性が指摘されており、人との距離を保つことが難しい場合や、屋内においては着用することが望ましい。ただし、熱中症などには十分に注意し、着脱をする
(2)本感染症への本人及び近親者の罹患が疑われる場合
本人はもちろん同居家族、同僚など日常的に接する機会の多い人に(1)-①に見られるような体調の変化などが見られた場合は、外出や練習参加を見合わせる
2.合唱練習再開時の留意事項
(1)練習会場
①施設管理者が策定した会場使用条件との調整
②参加団員数に応じた面積の確保
③身体的距離(できるかぎり2m、最低1m)の確保
④団員及び指揮者、ピアニスト等の配置の工夫
(2)練習時間・回数・人数等の制限
①練習時間全体の短縮や、休憩頻度をあげ、休憩時の換気を徹底する
②練習会場の都合で十分な身体的距離確保が難しい場合は、パート練習・分割練習などを実施し、密を避ける
(3)練習場の環境整備(主として接触感染の防止)
①消毒・手洗いの励行
練習会場へ着いたらまずアルコール消毒もしくは十分な手洗いを行ってから入室をする
石鹸による手洗いは30秒以上の実施、アルコール消毒は3ml(目安として15秒以上手が乾かない量)を使用することが求められる
②使用備品の消毒
椅子などの使用備品は汚染されていることを前提とし、可能な限り少人数での設置・片づけを行う
設置後可能な限りアルコールなどを使用して消毒をする
なお、ピアノなど一部備品はアルコール使用により劣化・破損するので、材質に応じた消毒方法を用いる
(4)参加者の把握と記録
万が一感染が発生した場合に備え、毎回の練習参加者を把握し、記録を残す
(5)発話機会の抑制(主として飛沫感染の防止)
①練習開始前、休憩時等の会話時は飛沫を抑制するためマスクの着用をする
②連絡・告知等はなるべくメール等のツールを活用する
③練習外の懇親会や、練習後の親睦会などは当面の間開催しない
④団運営に関する会議等は当面の間WEBでの実施を原則とする
(6)手渡しの回避の推奨(主として接触感染の防止)
配布物、楽譜等の手渡しを避ける。現金の授受を回避する。
3.感染が発生した場合
参加者に感染が発生した場合、濃厚接触者の特定や経路把握のために必要な情報を然るべき機関に提供する
・保健所等の機関より指定された範囲の練習出席記録
・同範囲の団員の健康チェック記録
なお、熱の推移を含む健康記録は個人情報であるので平時は団で集約などは行わない
区分 | 項目 | 実施事項 | 備考 |
団員 | 健康管理 | 健康管理表を毎日作成する | 体温:平熱より1度以上の発熱があった場合は医療機関を受診する |
健康管理表は練習の際に持参する | 体調:本人及び近親者に以下の症状があった場合は練習を休み、必要なら医療機関を受診する 咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、眼の痛みや結膜の充血、頭痛、関節・ 筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐 |
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保健所、練習施設管理者からの指示があった場合は提示する | 個人情報であるため通常は合唱団に提出する必要はない | ||
感染予防策 | 手洗い・手指消毒 | 帰宅時、外出先等 | |
感染拡大防止策 | マスクの着用 | 屋内、混雑した屋外等。夏季は熱中症に注意 | |
合唱団 | 練習会場 | 合唱団員数に応じた面積を確保できる会場の選定 | 団員1名あたりの専有面積として最低1㎡以上を確保 |
会場使用条件との調整 | 施設管理者との調整 | ||
団員、指揮者、ピアノ等の配置に配慮 | 身体的距離の配慮 | ||
会場の条件(面積、定員、使用条件)によっては練習人数を減らす | 複数回の分割練習、パート練習など | ||
練習時間 | 時間短縮、休憩回数増 | ||
団員管理 | 団員の健康管理の徹底 | ||
団員あるいは家族への不安への理解 | 各人の心情に配慮(欠席に対する不利益な取り扱いを回避) | ||
打ち合わせ | 当分の間WEB会議を原則 | ||
会合 | 当分の間団主催の懇親会は開催しない | ||
団員同士の練習後などの親睦会の自粛 | |||
練習所 | 人的感染防止策 | 入室の際の手指アルコール消毒 | 消毒液の準備 |
休憩時の会話抑制 | |||
通知・連絡はメール発信 | 口頭での連絡を極力減らす | ||
配付物、楽譜等は手渡ししない。金銭授受を回避 | 練習場に置き、各自で受領 | ||
環境面の感染防止策 | 休憩時の換気 | ||
練習後の設備類消毒 | 施設側との役割分担 |
付表の「団員1名あたりの専有面積として最低1㎡以上を確保」は、合唱団員同士が最低でも前後左右1m以上の間隔を確保するのに必要な面積を示したもので、練習会場全体の面積を規定するものではありません。
本文2. (1) ④にあるように、合唱団員の占める面積の他に指揮者、ピアニスト等の配置を考慮して全体の面積を確保する必要があります。会場の形状にも配慮が必要です。(2020.6.24 追記)